心不全は、悪化と回復を繰り返し、徐々に病状が進行する病気です。症状がよくなっても、心不全が完全に治ったわけではありません。心不全の進行や再入院を防ぐためには、適切な治療に加えて、運動や食事など生活習慣の改善が重要です。心不全を悪化させないためのコツを知り、生活習慣にも気をつけながら、心不全とうまく付き合っていきましょう。

運動について

適切な運動は、体力の向上や筋力の維持、さらに心臓の負担を減らすことにもつながりますので、積極的に行うことがすすめられています。医師からの注意点を守り、病状にあわせて軽い運動から始めましょう。

運動の例

  • 1

    血圧・脈拍数の測定

  • 2

    準備体操

    準備体操

    椅子に座って、手足を動かします。

  • 有酸素運動

    歩行、自転車こぎなどを行います。

  • 4

    筋力トレーニング

    筋力トレーニング

    スクワットやかかと上げ、またゴムバンドを用いた筋力トレーニングを行います。

  • 5

    整理体操

    整理体操

    疲れを残さないように、深呼吸やストレッチを行います。

  • 6

    血圧・脈拍数の測定

  • 以下のような症状がある場合は運動を控え、医師に相談してください。

    • 息切れがひどくなった
    • 1週間で合計2kg以上の急激な体重増加がある
    • 手足のむくみがひどくなった
    • 動悸がする
    • 強い疲労感が残っている
    • めまいがする
  • 体力に自信のない方は、有酸素運動と筋力トレーニングを別日に実施するなど、できることからはじめて、慣れてきたら少しずつ時間をのばしていきましょう。

  • 運動の強さ

    息切れのしない強さで、会話をしながらできる程度の運動を行います。「ややきつい」と思う強度を超えないように、また翌日に疲れが残らないようにしましょう。

  • 運動の時間や回数

    1回あたりの運動時間は、30分~60分程度が望ましいとされていますが、朝夕20分ずつ2回に分けて合計40分でもよいとされています。少なくとも週に3回以上運動を行うのが理想的です。

  • 運動をするときの注意

    • 不適切な方法や内容の運動は、病状の悪化などをまねく恐れもあるため、どの程度の運動がいいのか医師に相談してみましょう。
    • 気分や体調のすぐれないときは休みましょう。
    • 朝目覚めてからすぐの時間帯や空腹時、食直後は体調を崩しやすいため、食後1時間~2時間たって落ち着いたときに運動を行うようにしましょう。
    • 運動時の水分補給の方法は医師に相談しましょう。
    • 極端に暑いときや寒いときは控えましょう。

【参考】
・日本循環器学会, 日本心臓リハビリテーション学会(編). 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン 2021年改訂版. 2021. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf
・一般社団法人 日本心不全学会. 心不全手帳(第2版). 2018. http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/techo_book_new1_katamen.pdf
・特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会. 心臓病の運動療法について. https://www.jacr.jp/faq/faq-list/exercise_therapy/

2022年4月作成