心不全の診療は、主に専門家がまとめた『心不全診療ガイドライン』をもとに行われていますが、2025年にガイドラインが見直され、「心不全にならないように予防すること」がこれまで以上に重視される内容になりました。
心不全の発症を防ぐためには、食事や運動など生活習慣を改善するとともに、発症リスクとなる病気を適切に治療することが重要です。
心不全予防の重要性
心不全は進展の程度によってステージAからステージDの4つに分類されており、一度ステージが上がってしまうと元に戻すのが難しいという特徴があります。
そのため、まだ症状が出ておらず心臓に機能的な異常もきたしてない【ステージA】の段階から対策を始めることが大切です。このような早めの取り組みによって、心不全の発症や突然死の予防に繋がることがガイドラインでも示されました。
日本循環器学会/日本心不全学会.2025年改訂版
心不全診療ガイドライン.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf.2026年4月閲覧
また、今回見直されたガイドラインでは、心不全の発症を防ぐために「どのような病気に注意するべきか」「どのようなお薬を使用するべきか」についても明確になりました。
心不全予防のために
注意すべき病気
高血圧や糖尿病などは心不全の発症リスクとしてこれまでのガイドラインにも記載されていましたが、今回そこに「慢性腎臓病」が新たに加わりました。
主に以下のようなものが心不全の発症リスクとされていますので、心不全の発症を防ぐためにこれらをきちんと治療することが大切です。
また、そのほかにもさまざまな心臓の病気が心不全の原因になりえるので、それらの病気をもつ方はしっかり治療を続けましょう。
心不全予防のための
治療の方針
2026年2月に公表された『心不全予防に関するステートメント』では、ステージAおよびBの方に対する治療の方針が示されました。心不全の発症、すなわちステージCへの移行を防ぐためには、定期的な運動、体重管理、減塩を中心とした食生活、禁煙、節酒、感染予防などの健康的な生活習慣の維持が基本となります。
一般社団法人 日本心不全学会.心不全予防に関するステートメント~ステージA/Bにおける診療フローチャート~. 2026.
https://www.jhfs.or.jp/statement-guideline/files/statement20260205.pdf.2026年4月閲覧
BNP/NT-proBNP:心臓が出すホルモンの一種で、血液検査で把握することができる。心臓に負担がかかっていると数値が高くなるため、心不全の診断や重症度の目安になる。
ACE阻害薬:アンジオテンシン変換酵素阻害薬、ARB:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ARNI:アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬、スタチン:HMG-CoA還元酵素阻害薬(LDL-コレステロールを減らすお薬)
上記のとおりステートメントでは、取り入れたほうがよいお薬について現在抱えている病気に分けて具体的に示されました。
このように、心不全を予防するための治療の選択肢は広がってきており、患者さんの状態に合わせてこれらのお薬を上手に取り入れながら、きちんと治療することが大切です。SGLT2阻害薬、ACE阻害薬やARBなどのお薬は「薬物治療」でも紹介していますので、あわせてご覧ください。
『心不全診療ガイドライン』や『心不全予防に関するステートメント』では、「予防」の大切さがより明確に示されました。予防の鍵は、まずは毎日の生活習慣の改善にあります。
「心不全の悪化を防ぐために」では食事や運動のポイントを紹介していますので、できることから日常生活に取り入れてみましょう。
【参考】
・日本循環器学会/日本心不全学会.2025年改訂版心不全診療ガイドライン.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf.2026年4月閲覧
・一般社団法人 日本心不全学会.心不全予防に関するステートメント~ステージA/Bにおける診療フローチャート~.2026.
https://www.jhfs.or.jp/statement-guideline/files/statement20260205.pdf.2026年4月閲覧
2026年4月作成
