心臓には、血液を循環させるために2つの機能が働いています。それは、全身へ血液を送り出すための「収縮機能」と、全身から戻ってきた血液を取り込むための「拡張機能」です。
以前は、心不全は左心室の収縮する力が低下することによって起こると考えられていました。しかし、心不全の約半数は、収縮する力は保たれているにもかかわらず、左心室が硬くて拡張しにくくなっていることがわかってきました。その場合、心臓へ血液が戻る力が弱くなってしまうため、体内に血液が溜まり、むくみなどの症状が起こりやすくなります。
「収縮機能が低下した心不全」をHFrEF(heart failure with reduced ejection fraction)、「収縮機能が保たれた心不全」をHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)と呼んでおり、収縮する力が正常だからといって、決して安心はできません。
左心室が硬くて
拡張しにくくなっている
HFpEFの原因として最も多いのは、高血圧といわれています。高血圧が続くことで、左心室の筋肉が分厚くなったり硬くなったりします。硬い風船を膨らませるには力いっぱい息を吹きかけなければいけませんが、それと同じように、筋肉が分厚くなったり硬くなったりすると心臓が拡張するのにより大きな力が必要になり、心臓に大きな負担がかかります。
2024年6月作成