心不全は、悪化と回復を繰り返し、徐々に病状が進行する病気です。症状がよくなっても、心不全が完全に治ったわけではありません。心不全の進行や再入院を防ぐためには、適切な治療に加えて、運動や食事など生活習慣の改善が重要です。心不全を悪化させないためのコツを知り、生活習慣にも気をつけながら、心不全とうまく付き合っていきましょう。

食事について

バランスのよい食事を
心がけましょう

1日の食事に「主食」「主菜」「副菜」がそろっていることが理想とされています。偏った食事にならないよう心がけましょう。
たまには外食をすることもあると思いますが、「ラーメンとチャーハン」というような「麺とごはん」などの主食同士のセットメニューは控えたり、できるだけカロリーの低い和定食を選ぶなど意識してみましょう。

バランスのよい食事を心がけましょう

塩分のとりすぎに注意しましょう

塩分をとりすぎると体の中に水分をため込みやすくなるため、高血圧やむくみの原因となり、心臓に負担をかけてしまいます。
心不全患者さんが目標とする食塩摂取量は「1日6g未満」です。
例えば、大さじ1杯のこい口しょうゆには、2.6gの塩分が含まれているため、塩分控えめのものを選ぶとよいでしょう。また、市販のお弁当は塩分が多いため、漬物を残すなど工夫してみましょう。

  • みそ汁の塩分量は1杯1.5g程度です。汁物は1日1杯までにしましょう。野菜たっぷりの汁物にすれば塩分を減らすことができます。

    みそ汁
  • 麺類は塩分が非常に多く、汁まで飲むと塩分量は8g程度になります。食べるのを控えるか、食べても汁は残しましょう。

    麺類
  • 煮物は味がしみ込み塩分が多くなるため、1食1品程度にしましょう。副菜には和え物や酢の物などを選びましょう。

    麺類
  • 味付けと調理にひと工夫すれば、うす味でも美味しく食べることができます。

    • 酸味(レモン、酢など)、香辛料(こしょう、カレー粉など)、香味野菜(しそ、みょうがなど)をうまく利用しましょう。
    • 天然だしなど旨味をきかせた調理法は、食品の味を引き立てます。しょうゆの代わりに、こい口しょうゆとだし汁を1:1で混ぜた、だし割しょうゆを使えば美味しく減塩ができます。
    • 焼き物にしたり、炒った胡麻でつくる和え物などで、香ばしさを楽しみましょう。
    酸味
  • 加工食品は比較的塩分が多いため、旬の新鮮な素材を選びましょう。

    旬の新鮮な素材を選びましょう。

食欲がなく、食事の量が少ないときは、食べやすい物を選んで食べることも必要です。食事の量が減った際は、医師や看護師、管理栄養士に相談しましょう。

【参考】
・一般社団法人 日本心不全学会. 心不全手帳(第2版). 2018. http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/techo_book_new1_katamen.pdf
・特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会. 栄養学の面からアプローチ. https://www.jacr.jp/everybody/nutrition/

2024年6月作成